2009年6月27日土曜日

götgatan, stockholm. ヨットガータン

このブログのことを少し考えてみて、これからはもう少し分析とかしてみて、そうすることにより、それなりにまとまりのある主張をしていこうと思い始めた。なのでその実験その1。ちなみに、手法としては、最初に大まかな紹介をして、SWOT分析をして、どうしたらSとOを最大限に活かせ、WとTを補えるかということを考察する。また、三浦展さんは、私の愛する吉祥寺を調査した際に「歩ける・透ける・流れる・とどまる・混ぜる」の5点に着目した。実際に詳しい内容は今手元にある「シュリンキングニッポン」という本の中では紹介されていないのでよくわからないけれど、私もこの5点に少し気をつけながら考察したい。

その実験台になるのがストックホルムのヨットガータンという道。ここを6月24日に多少批判的な考えを持ちながら歩いて自転車をこいでみた。ヨットガータンはストックホルムのsödermalm・ソーデルを縦断する道で、ソーデルの中でもとても大切な役割を担う道の一つでもある。北のgamlastan・ガムラスタン(旧市街の島)からslussen・スルッセンを経て、ヨットガータンに入る。いきなりけっこうな傾斜のGötgatsbacken・ヨットガツバッケンという丘を登り、しばらくしたら今度は下る。すると、medborgarplatsen・メドボリヤープラッツェン・メディスというソーデルのヘソ的な広場につく。そこからは平らな道がskanstull・スカンストゥルまで続く。スルッセンからメディスまではほぼ車の走れない道、というか車が走らない道である。というのは、ここがソーデルのショッピングの中枢で、実に多くの人々が往来しているからである。さらに、地下トンネルがあり、あえてここを走る必要がない。さらに、一方通行だったりもするのでなおさらである。メディスからは車線も広がり、ソーデルからさらに南へと向かう人々が車を走らすことができる。このように、ヨットガータンはスルッセンからメディスまでと、メディスからスカンストゥルまでの2区に大別することができる。そこで、これからは前半と後半に分けてこの道を分析・考察してみる。

ヨットガータン スルッセンからメディス

Strength・強み/長所

  • お店の多様性→混ぜる
  • 車がほとんど通らない→歩ける
  • カフェとかバーとかレストランとか→とどまる
  • 圧倒的にいいアクセス(地下鉄、バス、電車)

Weakness・弱み/短所

  • 自転車と歩行者がぐちゃぐちゃになってる→流れない
  • 実はチェーン店も多い
  • 実はベンチとか皆無

Opportunity・機会(外部要因)

  • 世界中からの資本(お店や観光客)
  • サイクリストがソーデルを縦断するときに代替ルートがなく、結果たぶん立ち寄る人も多い。

Threat・驚異(外部要因)

  • スルッセンの建て替えが迫っており、そのためにもしかしたら人の流れが変わってしまうかも。
  • 実は多いチェーン店の景気動向。(今のところ大丈夫だろうけれど)

こんな感じであろうか。

この界隈はストックホルムのファッショナブルな人たちがとにかく来る。WeekdayとかH&M、Gina Tricot、Monki、Whyred、American Aparel、Filippa K、Adidas Original…と、例を挙げたらきりがないくらいにたくさんのお店がある。デザイン系でも、Granit、Ordning&reda、Design Torget、10gruppen、とやはり多い。つまり、ファッショナブルなエリアなのである。それ以外にも、照明ショップ、健康ショップ、帽子や、などなど、いろいろある。にもかかわらず、ストックホルムではここにしかお店がないものはアディダスと10くらいなのでは?!つまり、確かにいろんな人が集まってきていて、とてもオシャレな雰囲気を醸し出してはいるけれど、実はこの雰囲気は他でも起こりうるような気がしてならない。さすがにバーやカフェ、レストランはここにしかない(と少なくとも私が思っている)ものが多いが、このエリアの強みであるショッピングに関して言えば、実は幻想なのかもしれない。

さらに、サイクリストと歩行者をもう少しうまくわけられるようにしないと、傍から見ていて危険だ。私はこの道にいる人々をゆっくり見るのが好きだから、ここを通る際は毎回自転車を押して歩くので、なおさらそう感じる。毎日ここを通勤する人にとって、おそらくここは歩行者が鬱陶しい自転車を漕ぎにくい道にしかなっていない。

さらに、カフェとかバーに入ってのんびりとくつろぐことは可能だけれど、ベンチとか公園の類がほとんどない。人間観察を楽しむためだけにもコーヒーを飲まなくてはならない。せっかく面白そうな人がたくさん歩いてるのに、これはもったいない。

では、何をすべきなのか。例えば、(ほとんどないけれど)空き店舗を美術&ファッション専攻の学生に提供し、合同アトリエ兼店舗として、ここでしか買えない、ここに来ないと見つからないものを増やす。チェーン店も、ここの店舗でしか取り扱わない限定商品とかを置いてもらうことにより、やはり客足をここへ向かせる。

また、歩行者とサイクリストをいいバランスで分けて共存ができる工夫が必要である。これは、まるで想像ができないけれど、サイクリストにとってもっと快適なスペースをどうにかして提供する。急ぎたい人用に地下トンネルをほったりとか?さらに、そうやって歩行者とサイクリストを分けることにより、安心してくつろげる施設を設ける。ベンチとかでいいからね。言うは易しだが想像力は無限大。

そしてメディスからスカンストゥルまでの後半戦。

Strength

  • 何といってもメディスの集客力。たくさん人が集まれる。→とどまる
  • 自転車道・歩道・車道の区別があり、みんな安心して快適。→流れる、歩ける
  • バーとかレストランも相変わらずある。→とどまる
  • 普通のスーパーとかもある。
  • ここから発生する道にここにしかないおもしろいお店やカフェ、バーなど、たくさんある(SOFOエリア)

Weakness

  • 逆に、車道があることにより人の流れが少ないし、スケールがでかくなりすぎる。
  • 前半に見られるコンパクトさはない。

Opportunity

  • SOFOのブランディングにより、もっと多くの資本が入ってきやすくする。

Threat

  • ヨットガータン前半がもっと充実したらだれも来なくなってしまうのでは・・・
  • SOFOのおもしろい個人店が景気の荒波に負ける。

こんな感じだろうか。

何といっても、こっち側の目玉はメディスとSOFO。前者は、とりあえずたくさん人が来る。大きなスクエアなので、人がとりあえず座れる。さらに、隣接するバーが圧倒的な集客力を持っている。たまにイベントとかもしてるし、私の嫌いなGreenPeaceとかWWFが街頭インタビューをしていることもエリアの賑わいを高めている。後者はストックホルムの一番楽しいところだと確信している。大好きなカフェやショップがゴロゴロある。が、コンパクトではない。広いエリアに面白いお店が散在している感じ。なので、人の流れも見えにくい。結果、人間観察はしにくい。

さらに、やはりスケールがうんと大きくなっているのが気になる。ヨットガータン前半からの流れがメディスで止まり、その先SOFOやその他を歩く人の流れや行動はだいぶ見えない。

そこで、提案は、SOFOをよりうまくアピールする。SOFOのことはSOFOに行かなければ知ることができない。というのでは、新しい人の波を発生させることはできない。やはり、ここを外部へよりブランディングしていくことが必要である。

また、スケールに関しては、やはりどうしようもないところも多い。かと言って諦めるのではなく、スケールが大きいからこそできる工夫もあるはずである。事実、東京でも名古屋でも大阪でも、スケールの大きいエリアでもそのスケールをうまく利用することによりいい雰囲気を創出しているエリアはある。もちろん、日本とスウェーデンというスケールの差はあるけれど、まだまだ改善?というか、工夫の余地はたくさんある。

私が今パッと思いついた提案は2つある。ひとつ目は、ここをヨーロッパ一の秋葉原にする。秋葉も道幅の広いスケールの大きな町であるが、その特異性により人の流れが絶えることはない。また、このような文化を取り入れることにより、ストックホルムに新たな可能性を創出することができるのではないだろうか。なぜこう考えるかというと、実は日本のオタク文化はすごいからである。圧倒的である。その文化を、日本にまで行かずとも感じられる場所を提供する、間違いなく売れる気がする。問題点は、日本のオタク文化が発達しているフランスが、きっと真似をしてきそうな気がすること。それさえなければ、日本まで時間的・経済的に行けないヨーロッパ中のオタクピープルがここを目指す。そういうイベントも開く。場所は当然メディス。完璧な気がする。

そして、2つ目は、ここをヨーロッパ一のゲイ・レズビアンエリアにする。この町はヨーロッパの他の大都市と比べて、虹の旗が少ない。別にそっちの気があるわけでもないから注意して見ないし、かつて新宿2丁目に連れて行ってくれたようなオープンゲイ友達もいないので、尚更そう感じるのかもしれないけれど。で、なぜそうするといいかと思うと、それは彼らが結果的にもたらす多様性にある。Richard Floridaは超有名な本「the rise of Creative Class」において、ゲイの人たちが集まれるエリアというのが、一番経済発展をしやすいことを明らかにしていた。というのは、彼らが世間的に最も迫害を受けている人々で、そのような人々でさえ受け入れられる環境があるのであれば、あらゆる人々が入り込める、超多様性の豊かな界隈ができ、そういう多様な雰囲気をCreative Classと呼ばれる、経済を今後牽引していく人々は求める、というのが主張であった。彼は「ゲイの後をギークが追う」と書いていた。すると、IT産業がここで独自の発展をみせるかもしれない。そんなことを実現させるのである。コンサバな住民が多いエリアなら難しいかもしれないけれど、ソーデルはストックホルムで一番オープンな雰囲気のエリアだと確信している。なので、なおさらこの提案は面白い気がする。

このどちらかを実現させれば、ストックホルムはさらにすごい都市になっていくかもしれない。

と、とりあえず、自分でエリアをSWOT分析し、問題点と改善案を考えてみた。もちろん、SWOTも提案も、全部私の個人の意見であるので、議論としては圧倒的に弱いけれど、楽しかった。次からもこういうフォームでやっていこう。目標は、もっと大胆に!

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